そこに善悪なんてなくて、結果があるだけ
そこに善悪なんてなくて、結果があるだけ(小説風)
朝だというのに薄暗い道
厚い雲にはいつ落ちてきてもおかしくない雨の雫達が騒ついている
そんな空の最下層からは相変わらず賑やかな声が聞こえてくる
「それは風喜が先に見つけたんだから雫は取らんといて!」
小さなトングを持った風喜は今にも雫が拾い上げようとしているタバコの吸い殻を見て叫び、急ぎ足でその吸い殻に駆け寄った
雫は一瞬不服そうな顔をしたが、別の場所に小さな紙くずを見つけてタタタとその場を離れていった
あっちにもある!こっちにもあると2人はまるで宝探しでもするかのように道端のゴミを集めては笑っている
「風喜!あっちに大物があるから取ってきて!」と大きめのカップを指差す雫、それを見て拾いに行く風喜
彼らにとってこれは善行でもなんでもなくてただの遊びでしかない
これほどまでに求められているポイ捨てされたゴミ達を私は見たことがなかった
それを見ていた朝のゴミ捨てに来ていたおばさんに
「偉いねぇ」と言われても何の事だかわからない
ただただ自分がどれだけ多くのゴミを見つけて袋に入れる事が出来るか、それを競い合っている
一つ見つけては青いトングで拾い、袋に入れる毎に満足げな表情を浮かべ、そして次のゴミを探す
大量に落ちてるとこっちにいっぱいある!と言っては喜び2人でせっせと回収している
だんだんと上手にトングを扱えるようになると歩きながら拾ったりと拾い方も工夫して遊んでいる
寒さで鼻水が垂れていてもそんな事は気にもせずに目を光らせて
ゴミが落ちていない道ではつまらなさそうに歩き狭い溝を覗き込む
ゴミ拾いを楽しむ彼らを見ているとゴミが落ちてる事も彼らにとっては悪くない事なんだなと不思議な感覚を覚える
ようやく保育園に辿り着く頃には小さなゴミ袋はいっぱいになり、2人の遊びの成果が目で見てわかる
「帰りもゴミ拾いしたい!」と懇願する風喜と雫の頭をクシャクシャと撫でて「またやろうね」と約束した
彼らは嬉しそうに部屋に入っていき、ようやくいつもの1日が始まろうとしていた
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