神様のお話
神様のお話(急に小説風)
「あんな遠くにいるのに神様はちゃんと願いを叶えてくれるのかなぁ?」
身体を拭かれている時にふいに口を開いた風喜は、裸んぼのまま思いついた疑問をぶつけてくる。わからない事がある時には左右の眉を中心に寄せて小さな口で話す癖がある。
何の話をしているのかわからなかった私は彼の身体を拭くのを止めて、その軽い身体を膝の上に乗せて優しく聞き返した。
「どこの神様のお話?」
幼い彼は視線を左上に移しながら一生懸命話す。
「あのお山のてっぺんにあっておっきなカブトがある所」
どうやら以前家族でいった山の神社の話をしているようだった。
「神様はね、いつもここにいるんだよ」
私は彼の小さな胸を指さして話した。
「いつもここにいて風喜の事を見てるから、何でも知ってるし、ちゃんと叶えてくれるよ。もちろん風喜だけじゃなくて、父ちゃんの中にもいるし母ちゃんの中にも、みんなの中にいるんだよ。それからそこのボールの中にも」
近くに転がっている空気が抜けてフニャフニャになったバレーボールを指さした。
彼は面白がって言った。
「じゃあ、この服にも?」
これから着ようとしていた服を持ち上げていたずらにぶらぶらさせて見せた。
「そうだよ、ぜーんぶ神様がいるし、ぜーんぶ神様から出来てるんだよ」
「えーー!!このお目めも?この耳も?このお口も?」
彼は興奮してるのか声のトーンが上がり変な話し方になってる。
1つ1つのものに「そう」と頷き返していると
「この髪の毛にも?」
といって彼は私のセットしたての髪をくしゃくしゃと撫でた。
「あー!」
とつい大きな声を出した私はおかしくなって笑った。
「この世のすべてが神様なんだよ」
「じゃあ地球も?宇宙も?ぜんぶ??」
「そう、だからお友達も、物も、この世界にあるものみーんな大事にしないといけないね」
彼は素直にうんと頷いた。
「でもね、いつも近くにいて、当たり前のようにそこにあるからついつい神様の事忘れちゃう事もあるよね」
彼は一生懸命に聞いてくれている。
「だから、時々神社に行って、神様の事を思い出して、いつもありがとうって伝えるんだよ」
「ありがとう?」
「そう、風喜の身体は神様から借りた身体だから、恩返しをしないとね」
彼はまた眉を寄せて口をすぼめた。
「恩返しって何?」
「恩返しっていうのは、たとえば誰かが飴ちゃんをくれたら風喜はうれしいよね?そしたら代わりにクッキーをあげようかってなるでしょ?」
私も彼も保育園の遠足で自然に行われているお菓子交換の風景を思い出していた。
「そうやって、自分にしてくれた事に対してお返しする事だよ」
彼の眉はまだ寄ったままだ。
「でもどうやって恩返ししたらいいの?神様も身体の横に出てきてくれたらいいのに。それに神様が何を欲しいのかわかんないよ」
私は彼の両脇に手を差し入れ、その小さな身体を持ち上げて言った。
「神様はね、人が喜んでる姿を見るのが大好きなんだよ。風喜が笑ってる姿を見るのが神様の喜びなの。だから、風喜がいつも楽しんでる事、それから周りの人をいっぱい楽しませる事、困ってる人、悲しんでる人がいたらどうしたの?って助けてあげて笑顔にしてあげると神様はとっても喜んでくれるんだよ」
そう言って風喜を床に下ろすと、彼は肩をすぼめ左手を口に当ててクスクスと笑い出した。
「どうしたの?」と聞くと
「笑ってるの」と答えた。
朝日が曇りガラスの窓から差し込むと、私と彼を優しく包み込んだ。
「さぁ、母ちゃんがホットケーキを焼いてるよ。食べに行こう」
彼は嬉しそうに現実に戻ってきた。
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